いつも美味しいランチを提供してくれるフードトラック。普段は聞けないお店のヒストリーや、料理、素材へのこだわりを知ると、美味しい料理がさらに身近に、美味しく感じられるもの。
今回は、毎週水曜日に出店しているジャマイカ料理の店「キングストン12」を紹介します。
<キッチンカーに立つ杉本さん。>
ランチカーの仕事をする前は広告代理店に勤めていたという杉本文さん。当時の会社の関連会社がレゲェ音楽のレーベルを運営しており、現地での音源録音に同行したのが最初にジャマイカを訪れたきっかけだったのだそう。その旅でレゲェ音楽に魅了され、すっかりジャマイカにはまってしまったのだとか。それからジャマイカを往ったり来たりする生活が始まり、ジャマイカに関係することを仕事にできないかと思い始めたのがキッチンカーだったのです。
お店をはじめるにあたり看板メニューに選んだのが「ブラウンシチューチキン」。日本ではあまり馴染みのないメニューですが、ジャマイカではとてもポピュラーな料理で、黒コショウ、ニンニク、タマネギ、ナツメグなどを使ってチキンを煮込む現地の家庭料理です。杉本さんは現地で習ったレシピを大事に守りながら家庭の味を再現しています。
そしてもうひとつの看板メニューは「ジャークチキン」。オールスパイス、タマネギ、ライムなどで作る特製ジャークソースにお肉を漬け込んで焼く、ジャマイカの代表的な屋台料理のひとつです。オバマ元大統領が好物だと公言していたことでも有名ですね。
<看板メニュー2トップの「ブラウンシチューチキン」と「ジャークチキン」が両方盛り付けたスペシャルメニュー>
毎年、冬になると寒い日本を飛び出してジャマイカに飛ぶ杉本さん。料理に使うスパイスの買い付けを行うほか、現地でのイベント出店、ケータリングなど、本場の風を感じながら腕を振るい、レゲェのパワーを充電してくるのだそう。(毎年、一番寒い1月、2月にキングストン12がお休みなのは、このためなんです。)
杉本さんがキングストン12をはじめたのは、もう10年近くまえのこと。毎日、朝早くに起きて仕込みする決して楽とは言えない仕事ですが、杉本さんはこの仕事が自分に合っているのだそう。
「体力的にキツイ時もあるけど、私はこの仕事が好き。自分で作った料理を、お客さんの顔を見て直接手渡せるから楽しく続けられているんだと思う」と話す杉本さん。
ぜひ一度、キングストン12でジャマイカの味を体験してみてください。
最後に、杉本さんに提供していただいた、ジャマイカの写真を一挙公開します!
以下、括弧内は杉本さんのコメント
<アメリカの空港のジャマイカショップ。長いフライトの疲れも吹っ飛ばしてくれる。>
<出店ブースの場所は出店者同士の激しい口論の末、決まる。場所によって売上の明暗が大きく別れるから必死。>
<毎年出店のBob Marley stage show in Trench Town>
<お魚料理をチケット制で売るイベント「フィシュフライ」を開催。ほぼ徹夜で仕込み。この後、チケットを売ったのに料理が足りず、大騒ぎになる。>
<近所の子供たちを朝学校に送って行くのも、大事な私の仕事です❤︎>
Writing/photo加茂 光