美味しいランチを販売してくれるフードトラック。普段は聞けないお店のヒストリーや、料理、素材へのこだわりを知ると、美味しい料理がさらに美味しく、身近に感じられるもの。
今回は、毎週月曜日に出店しているローストポークの「ピエニキッサ」を紹介します。
いつも可愛いお揃いのエプロン姿でランチを販売している渋谷(シブタニ)さんご夫婦。島根県が地元だというお二人が東京に上京してきたのは2011年のことでした。
「それまでは広島県の飲食店などで働いていましたが、やはり“東京で勝負したい”という思いが高まり、思い切って上京しました」とご主人の直也さん。
当初は移動販売ではなく、西麻布のカフェで働いていた直也さん。しかし、しばらくすると母体となる会社が新たに立ち上げたオーガニックショップに異動となり、管理職の業務も増えるなかで徐々にお客さんとの距離が遠くなっていったそう。そして「やりたいことから離れていく……」という思いが募っていったそうです。
そんなときに頭に浮かんだのが、上京する前に体験した移動販売コーヒー店の面白さでした。
「オーガニックショップも楽しかったのですが、やっぱり料理がしたかったし、お客さんとの距離が近い仕事をしたかった。飲食店で働いた経験を生かした料理を作り、フードトラックで販売すれば自分でもそれが出来るんじゃないかと思ったんです。」
“思い立ったら即行動”の渋谷さん。ランチを販売する場所の保証もツテもないまま業者に発注してフードトラックを作ってしまったそう。そして、渋谷さんがランチに選んだのは、あまり耳にしない「ローストポーク」というメニューでした。
<”サラダ感”満点のピエニキッサのローストポークは650円と良心的なお値段!>
「ボリューミーで食べ応えのある、お肉をたっぷり使った料理を提供したいなと思いました。でも牛肉を使うとどうしても単価が上がってしまう。なので、リーズナブルな価格で提供できるよう豚肉を使ったローストポークにしたんです。ローストビーフは他のお店でもやっているけど、“ポーク”はあまりないので面白いかなと思って」。
国産の豚肉を塩麹などの下味に漬け込み、柔らかく仕上げるピエニキッサのローストポークは他ではなかなか味わえないジューシーな食感。そこに柚子胡椒とオニオンを使った自家製ソースをかけ、キュウリ、パプリカなどの野菜をザクザク刻んだチョップドサラダを添えていきます。お肉料理なのに、とてもさっぱりと頂くことができ、女性にとくにオススメです。
<温玉、チーズ、アボカドなど、トッピングも豊富!>
「じつは僕、専門学校では建築を学んでいました。でも建物というよりも人が賑わうスペースや空間作りに興味があったんです。移動販売に興味を持ったのも、一台のキッチンカーが空間の雰囲気を変える力を持っているからかもしれません。これからは自分のキッチンカーで空間を演出して、コミュニティを盛り上げたいなぁと思っています。」
渋谷さんの夢はますます膨らんでいきます!
Writing/photo加茂光